1年間に3枚もアルバムをリリースするラッパー、狐火さんにいろいろ質問してきた

ラッパーとして精力的に活躍し、2015年12月2日にニューアルバム『32才のリアル』をリリースする狐火さんにお会いしていろいろ質問させていただきました。僕が個人的に聞きたかった制作環境や日々の生活、あとなぜか血圧について熱く語っていただきました。

― まずはリリースおめでとうございます。狐火さんってもともと制作のテンポが速い印象ですが、今年は特に速いスピード感で制作されてますね。

2015年は2月に配信限定で『計画売名２』、その後5月に『ネオニート』をリリースしました。12月2日にリリースする『32才のリアル』が今年3枚目のアルバムですね。

今年の頭に仕事を辞めて、4月からWeb設計の学校で学生をしながら活動をする生活になりました。会社員時代と比べるとかなり時間に余裕を持って活動できるようになって、今までよりも制作に時間を費やせるので嬉しいです。

― 狐火さんの制作環境ってどんな感じなんですか？

僕は基本的に自宅でリリックを書いてます。SHUREのゴッパーっていうダイナミックマイクを使ってレコーディングまで自宅でやってます。

― 今作もそうですが、狐火さんのリリックは人柄が伝わってくる、内面的なものが多いですよね。

日々の生活で気づいたことや思ったこと、ちょっとした考え事なんかを掘りさげて出てきたものをそのまま歌詞にすることが多いからかもしれません。日常には面白いことがたくさん転がっていて、ネタに困ることがないです。逆に映画や小説からインスピレーションを受けて歌詞を書いたりすることはあまりないですね。

― 「リリック書くぞ」というモチベーションが出てくるのってどんな時ですか？

うーん、特にないですね。だいたい毎日何かしら書いていて、「歌詞を書く」ということが自分の生活に溶け込んでいるのであまり大きな波がないんですよね。

あ、しいて言うと土日の朝からトラックを聞いてると調子がいいです。

土日だとお昼からお酒飲めるじゃないですか。お酒を飲むと普段遠慮して言わないようなことが自分の中から出てくるので、ペンの走りが良くなる実感がありますね。自分は500ml缶のビールを2本飲んで、その後アルコール度数9％のストロングのチューハイを500ml飲むとベストコンディションになるということを最近発見しました。

ただ翌朝書いたものを見て「なにこれ」ってなることが多いので諸刃の剣です。

― 昼から1.5リットル。最近はお酒の失敗ってありますか？

ついこの間、ライブ終わりに一人酒してたら思いのほか酔っ払ってしまって、気づいたら両手にビール持ってたんですよね。「あれ？　なんで2本も持ってるんだろう」って思いながらぼーっとフロアに立って記憶を辿ろうとしていたら中身をこぼして目の前にいたお客さんに思いっきりかけてしまって。

もちろんすぐに謝ったんですけど、もうかなり酔ってたので正常な判断ができてなかったみたいで、「これで拭いてください！」って物販用のCDを渡したんですよ。そしたら「こんな水を弾く素材で何が拭けると思ってるんですか？」って言われました。ものすごく反省しています。

あとは相変わらず飲み会の翌日とかにメールで泥酔中の失態を教えてもらったりするんですが、基本的に「そんなことしてない」「全く酔ってなかった」「っていうかそもそもそんな飲み会行ってない」ってしらを切っています。

― 音楽やお酒以外で最近何かハマってることとかありますか？

血圧ですね。

― 血圧。

はい。朝と晩に血圧を測るのが習慣になりました。

写真はキツネブログより引用。

僕もうすぐ33才になるんですけど、この年齢になると健康診断でいろんなところが引っかかっちゃうんですね。去年はコレステロール値と尿酸値の数値がとんでもないことになってて、数ヶ月かけて生活を見直して基準値まで戻したんですが、今度は血圧が高すぎるってお医者さんから注意されちゃって。こっちを直したらあっちが出てくるっていうモグラたたきみたいな状況です。大変です。

血圧は毎日測ってるんですが、1回目で高い数値が出たらノーカウントにしてすぐに2回目を測るのが僕のスタイルです。

― 血圧ってどうやったら下がるもんなんですか？

まずは食生活ですね。外食をやめて、できるだけ体に良いものをとるようになりました。僕は毎日トマトとバナナを食べるようにしています。

あとは歩く距離を増やしました。普通に歩くだけだとあまり効果がないので、早歩きをするといいですよ。ここ最近は毎日一駅分歩いています。

― 血圧は下がりましたか？

それが全く下がらないんですよね。

ライブ中の狐火さん（高血圧）

― 狐火さんって会うたびにどっか体壊してる気がします。

今年の夏は静岡でのライブ中に地団駄を踏みすぎて左足を疲労骨折しました。30才を超えてからは常にギリギリのところで生きてます。

ライブ中に地団駄を踏み過ぎて両足を負傷しました、特に左ひざ。以前からライブの翌日になぜか足に異常な痛みがあって酔っぱらってどっかにぶつけたんだと思っていたのですがライブ中の強めの地団駄によるものだと判明しました
— 狐火/kitunebi (@kitune_bi) 2015, 7月 21

しばらくライブでの地団太禁止だってさ
— 狐火/kitunebi (@kitune_bi) 2015, 7月 21

― 狐火さんはライブで体全体を使って感情を全面的に出しますよね。何度か歌いながら涙をこぼしているのを見たことがありますが、あれって泣く練習とかもしてるんですか？

してないです。ちゃんと毎回ライブ中に感極まってます。

― スランプに陥ったりすることはありますか？

ありますよ。実はちょうど今がその時期なんですけど、毎回レコーディングやジャケットのデザインをすべて終えて、リリース日を待つまでの間はいろいろなことを考えてしまって不安になって書けなくなります。

― 何かいいスランプ解消法はありますか？

僕はスランプは解消しなくてもいいやって思ってます。きっとリリース日を過ぎたらまたいつも通りに書けるようになるので、今は普段できないことをしたりして過ごしています。最近は普段観ないギャング映画を観てますね。

― ギャング映画って観終わったときにはちょっと気が大きくなって、不安な気持ちが紛れて楽になりますよね。

いえ、僕は逆に「あのシーンみたいに突然知らない人が出てきて殴られるんじゃないか」とか「外出た瞬間に誰かに撃たれたらどうしよう」って考えちゃって余計に不安になるんですよね。

― 心配性すぎる。

根がネガティブなんですよね。不安な気分に陥ったらGoogleマップで遺跡を探して気分転換しています。エジプトとかリビアとかの砂漠のど真ん中に突然遺跡が現れるんですよ。すごいですよ。

― RPGみたいで楽しそうですね。

楽しいですよ。ぜひやってみてください。いい遺跡見つけたら教えてください。

― 狐火さんが作品を発表しているレーベル、Butterfly Under Flapsの名前の由来についておしえてください。

「地中で羽ばたく蝶」って意味で、サナギから蝶になっても変わらず地中にいる姿を想像したらなんか自分らしいなって思ってつけた名前ですね。

ただ英語圏の人が見たら「？」ってなる単語の羅列らしくて、昔仲良くなった外人に「お前その英語、なんか無茶苦茶だぞ」って言われて馬鹿にされたことがあるんですよね。まあ今さら変えても仕方ないし、そのままButterfly Under Flapsで突き通しています。

実は僕のファーストアルバムがレーベル名と同じ『Butterfly Under Flaps』なんですが、いつか自分の人生で何か、例えばメジャーデビューみたいな大きな出来事があったら、地上に出て羽ばたくイメージで『Butterfly Over Flaps』というタイトルでアルバムを出そうと思っています。

― そのタイトルのアルバムのリリース、早く実現できるといいですね。楽しみに待ってます。最後に何か告知とかありますか？

今回『32才のリアル』のジャケットのモデルをしていただいたボクサーの八重樫さんの世界戦が12月29日、有明コロシアムで開催されます。

IBFライトフライ級タイトルマッチという大事な試合なので皆さんにも是非応援して欲しいです。

― ありがとうございました。

ありがとうございました。

32才のリアル

■トラックリスト

01:aiwaスピーカー Track by SHIBAO
02:ジョッキのビールと泡だらけ Track by SHINJI-coo-K
03:マイアミネガティブ feat,あっこゴリラ Track by SHINJI-coo-K
04:そのスピードで Track by AKACHAKA
05:MOROHAがテレビ(地上波)に出た夜: Track by DJ TO-SHIRO
06:僕じゃダメなんですか Track by DJ TO-SHIRO
07:便座みたいな新国立 rack by 魔進
08:もう二度と元には戻れない Track by 魔進
09:僕は殺しても生きたい Track by SHIBAO
10:ペヤングの湯切り失敗 Track by pragwono
11:キャンパスライフ Track by みつい
12:クラスメイト Track by みつい
13:はなうた feat,healah Track by 知らない
14:32才のリアル Track by SHIBAO
15:ヒーロー Track by 観音クリエイション
16:再起: Track by DJ TO-SHIRO
17:ハイボール Track by Laugh