満員電車に乗って吊革につかまってたら僕の前にスマホを持った小柄な女性がポジショニングしたんですね。僕とその女性の位置関係と身長差からその女性のスマホの画面が丸見えな形になりました。特に興味もないしどうせMERYで秋冬コーデの記事でも見てんだろうと思ってたらLINEのトーク画面で、
ねえねえ
ん?
好き
えへへ
俺も
ぎゅーっ
もっと強くぎゅーーーっ
という割と強烈な文字列が目に飛び込んできて、不意に綿あめで顔面を殴られたような気分になりました。7HITコンボです。
人の携帯の盗み見はよくない。絶対によくない。けどそんなモラルやマナーを超越して「これは見なきゃいけない。この一部始終を誰かに伝えなきゃいけない」そんな使命感に駆られて凛とした集中力を持ってガン見しました。少なく見積もっても視力5.0ぐらいは行ってましたし、集中しすぎてスマホの画面が透けて中の基盤が少し見えた気がします。やり取りはさらにエスカレートしていきます。
くんくん
なにしてんの?
匂いかいでるー
きゃー
シャンプーいい匂いー
喜怒哀楽の先にある「虚無」という感情が僕の中に生まれた瞬間でした。好物のナタデココだと思って食べたら杏仁豆腐だったときのあの感じに似ています。
で、その後「いちゃいちゃしたいよぉ」からのお互いの性器を触るとか触らないとかそういうドープな会話になったので割愛しますけど、そういう18禁の流れで相手の男が
ハーッ!
っていうこの日1番の返信を繰り出してきて、これはもう本当に強烈な破壊力で、その文字を見た瞬間に僕はガキの使いの笑ってはいけないシリーズで松本人志が口を大きく開けて視線を遠くにやって俺は笑ってないですアピールをする状態になりました。いつ電車内のスピーカーからあのデデーンという音が鳴り響いて車掌にアウトを宣言されて次の駅でタイキックを食らってもおかしくない状況でした。でも僕は一人だったので、満員電車の中で一人でそんな顔してたら完全に周りの人に変な奴だと思われてTwitterとかに書かれたら嫌だなって思ってすごい勢いでブラウザを開いて猫のgif画像をiPhoneに表示しました。隣の人に「この人なんでニヤニヤしてるんだろう…あ、猫見て笑ってるのか」と思わせるためです。これで事なきを得たのですが今思い返すとまったく事なきを得てない。ちなみに「ハーッ!」はケンドーコバヤシの声で再生されました。ピンとこない人はYoutubeで「ケンドーコバヤシ ピンクローター」と検索してください。その声です。
そんなやり取りをずっと見ていて、というか見せられて、というか見せつけられていました。最後の方はその女性が完全に僕が見やすい位置でスマホを持っていたので、なんかそういうドッキリもしくは新手の美人局かと勘ぐってしまってちょっと怖かったです。
「おい」
「はい」
「テメー今コイツの携帯見てただろ」
「えっなんなんですか突然」
「俺の彼女の携帯見てんじゃねーよ!!」
んじゃLINE相手の男は誰なんだ、と思ったところでイメージトレーニングをやめました。
そうこうしているうちに女性が電車から降りてしまったので「ハーッ!」からその後どんな展開を見せたのかわかりませんが、とにもかくにも4文字でこんなにダメージを受けたのは初めてでした。今ダメージって打とうとしたら「駄目〜」と予測変換で一瞬表示されてびっくりしました。以上です。
コメントを残す