最近漫画読む時間取れてなかったのですが久しぶりに読んだら面白かった。ヤマシタトモコさん著の『花井沢町公民館便り』。
『花井沢町公民館便り』の設定とか
タイトルの『花井沢町公民館便り』から日常系の漫画だと思ってたらSFでした。
有機体(生きてる人間とか動物とか)を通さず、無機物を通す膜みたいなもの(シェルターとか刑務所に使われる予定だったらしい)が、数年前に起きた何らかの事故でこの漫画の舞台である花井沢町を覆いました。その結果どうなったかというと、膜に覆われた「中の人」は町から出られなくなり、膜の「外の人」は中に入れなくなった。そんな「外界から隔離された小さな町」が舞台。
事故が起きたのは2055年。今よりちょっと先の近未来のお話。他はほとんど今の世界と一緒。
町の中のいろいろな人にスポットを当てて、それぞれの人から見た世界が描かれていきます。葬式、恋愛、教育、差別、強奪、日常。いろいろな出来事を通して、読み進めるうちにだんだんこの世界の設定が頭に入ってくる。
人が亡くなったり、壁の外の人と遠距離恋愛したり、普通に学校行ったり、中の人は外の人に同情されたり、たまに町の中に泥棒が出たりと、ありふれた日常を描くのですが「中と外」という設定があるだけで常に不思議で独特な雰囲気が漂います。
例えばお葬式は亡くなった人を中と外の境界線までリアカーで運んで外の人にリアカーにつないだロープ(無機物だから膜を通せる)を渡してあとは引っ張って行って火葬してもらうとか、学校に行っても授業はネットで繋いでオンライン教育だったりとか、そういうSF感。けどこの世界ではそれが普通。異世界の日常。
毎回1話完結型で終わるので淡々と読み進められます。時系列がバラバラになっていて、第1話が第2話の数年後だったりするのですが、たまに描かれている公民館の古さで年代を推定できる。ざーっと読んでもう一回1話から読み返しても楽しめそう。まだ1巻しか出てなくて、これからどう展開していくのかとても気になります。
以下でちょろっと試し読みできます。
同じように時系列がバラバラに描かれた漫画に『それでも町は廻っている』っていうのがあります。こっちも不思議で面白い。こっちは楽しい感じの漫画です。
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