観た:『海よりもまだ深く』

あらすじ読んでもいまいち惹かれなくて、「いやー?」って感じだったのですがたまには自分の嗜好から離れたものにも触れてみるかというノリで行ってきました。そしたらめっちゃ良かった。『海よりもまだ深く』。じんわりくる映画でした。

役者さんの演技、日常の映像の色味、生活音の鳴り方、どこを取っても文句をつけるところがなくて、「よく分からんけどめっちゃ良かった」という感想です。逆に「あのシーンが最高」みたいなのはあんまりなくて、へーこういう映画もあるのかーと思いました。

主な登場人物は競輪で大金をスるダメ男、気ままな生活を送る母、新しい彼氏を作った元妻、聞き分けのいい息子。

大きな事件もなければクライマックスもなく、はたまた何か問題が解決するわけでもなく。2時間ただ日常を映して、ストーリーが終わる頃にはまたみんな日常に戻ってく。それだけ。なのになかなかどうして心に残るものがあります。

予告編を見て「わざわざこれを映画館のデカいスクリーンで観る必要はあるのか?」と思ったのですが映画館で観て良かったです。没入できた。

そういえば樹木希林さんの演技をちゃんと見たのは初めてだったのですが、今回のおばあちゃんの役が「あらゆる人が持つおばあちゃんのイメージ」の最大公約数的な演技なので誰が見ても「ああ、おばあちゃんを思い出すなあ」ってなると思います。ちょっとした所作とか話し方とかコミュニケーションの取り方とか。あとモロゾフの空き瓶にカルピス入れて凍らせてシャーベット作るとか。老婆100人いたら100人全員やってるもんあれ。